実際に通ってハイトーンボイスを手に入れた!
みなさんと同じ目線の、そんな生徒が学んだことを整理してお伝えします!
このコラムは、ひたすら男性ハイトーンを突き詰めようとする、日常+ACADEMYボイストレーニングコース在籍の生徒(兼事務方担当)による、今まで学んできたハイトーンボイスの獲得の方法や、学びながら思うこと、いまからハイトーンボイスを学びたい方へのアドバイスなどをまとめたコラムです!
下記のような内容で進めていきます。
時間がある時に書き進めますので、参考にして頂けましたら幸いです。
序章
ボイトレを始める前の話
高い声、魅力を感じますよね!
現在では、男性ボーカルも、女性ボーカルも全体的にどんどんハイトーン化が進んでいます。
私の世代ですと、C5とかを超えるような高い音は、国内だとX Japanに代表されるようなハードロックやヘヴィーメタル系が主な使い手で、ポップスや演歌、ロックなどはそれほど高音を使っていませんでした。一部、例えばポップスだと華原朋美さんや広瀬香美さんなど、高い音域を使うアーティストが現れると、その高音が特徴の一つとして認識されるほど、目立つものでしたね。
当時から(私だけじゃないと思いますが…)無理をしてXのマネなどをしては喉をガラガラにして、やっぱりあんな高い音は無理だな…なんて諦めたりまた挑戦したりしていた頃が懐かしいです。
時は経ち、今ではD5(hi D)などの音域が当たり前のように、女性ボーカルはもちろん男性ボーカルもハイトーン化が進んでいます。私達の時代からはちょっと考えられないハイトーン化ですね!
これはおそらく、カラオケなどの普及により一般の歌唱レベルがどんどん上がり、普通の方も徐々にハイトーンボイスにチャンレンジする機会が増え、その練習の方法などが広まったおかげではないでしょうか。
またミックスボイスなどの安全なトレーニング方法が確立してきた背景も重なり、当然プロのアーティストさんもよりメロディアスに!より高く!の流れの中で、更にボカロの登場によりさらなる高音化が加速したのでは無いでしょうか?
人気アーティストをみると、例えば Mrs. GREEN APPLE で、裏声で F5、ミックスで C#5あたりまで、Official髭男dismも、裏声でG5、ミックスでF5 あたりまで使うそうです。
これが、ボカロになると例えば『命に嫌われている』だと表でG5まで使います。もう、とどまるところを知りませんね。
ちなみに、『命に嫌われている』をYoutubeにアップされている歌い手さんもたくさんいらっしゃいますが、ミックスの現場をちょっとだけかじったことの私が見た感じですと、音程をいじられている方も結構いるな、という印象です。それほど、高い音での発声は困難が伴うものなのですね。
あと、私達の世代と異なる高音化の一つの特徴として、中性的な歌唱を得意とする男性アーティストの台頭も挙げられると思います。前に挙げたMrs. GREEN APPLEもそうですし、例えば3ピースバンドのSaucy Dogなども、女性の心情を歌うものがあります。
言葉を選ばすいうと、こうした『線の細い』男性ハイトーンボイスは現在のJPOP、JROCKで一つの傾向として確立されている感があります。
さておき、そんな世の中の流れに伴い、更にハイトーンを目指す方が増え、同時に無理をして喉を痛める方もまた増えている印象です。かくいう私も、正しい発声が身につく前というか、正しい発声って何?ぐらいの感覚でカラオケで歌っていましたので、1時間とか2時間歌うと喉がガラガラになっていて、『まー高いお歌を歌うと、喉潰れて当然だよね!』と納得していました。
今思えばこれは非常に危険なことですが、幸い歌う頻度がそれほど高くなかったため、致命的に喉を痛めたことは無かったのですが、人によっては間違った発声のまま高い音を歌い続けて、不可逆的なダメージを負ってしまう方もいるそうです。
残響散歌を歌うAimerさんが声帯の治療のために、半年間声を一切出さない治療をされたのは有名な話ですね。
当然ですが、喉は一生同じものを使い続けるしかありません。
高い音が出るように必死に練習して、間違った発声で喉を潰してしまうと、なんのために頑張ったかわからなくなりますし、最悪自分の歌いたい歌が唄えなくなるリスクすらあります。
ハイトーンボイスを出すためのコツ、は、いろいろあります。
が、自分が学んできた範囲でいうと、必要な基礎は本当に単純で、お腹から声を出す、喉に力を入れ無い、これぐらいです。でも、頭でわかっていても、すでに変な癖がついていたり、体が思うように言うことを聞いてくれなかったりして、身につけるには結構時間が掛かるものです。わたしも、なんとなく体が思うように動くようになってきた?と思えたのは、歌の練習を本格的に始めてから1年半ぐらい立ってからでした。
余談ですが、練習を初めて高い音が無理なく出せるようになってきても、最初に『この歌を歌いたい』と課題に挙げていた曲がちゃんと歌えるようになってきたのは、最後の方でした。新たにチャレンジした曲はちゃんと歌えるようになるのに、最初から課題曲にしていた曲は何度チャレンジし直しても改善していない、という期間が長く続きました。
これは、長年間違った発声法でその歌を歌い続けていたため、自分の悪い癖が隅々まで、そう、喉からお腹から顎から姿勢から、全てに悪い癖が染み付いていたため、それを取り除く事に非常に時間がかかりました。
ですので、いままでチャレンジしてきたけど、なかなかちゃんとしたハイトーンボイスが出せない!という方がこれから練習するにあたっては、できれば今まで歌ったことがない曲をおすすめします。更に、英語が得意、不得意に関わらず、英語の曲を練習することをお勧めします。理由は別の章でお話しますが、日本語のハイトーンボイスはものすごく難しい!そして、英語のほうがずっと簡単です。
ハイトーンボイスで歌いたい!その気持を叶えるために、正しい発声方法を身に着けて、末永く、歌を歌い続けましょう!
基礎こそすべて!
- 『お腹から声を出す』は力任せに大きな声を出すことではない!!
- 腹筋、背筋、横隔膜をしなやかに、思い通りにコントロールする!!
- それを支える下半身を必要なだけしっかり鍛える!!
- 喉には一切力を入れない!!
ハイトーンボイスを出すために必要なトレーニングは、おそらくこれらがほぼすべて、と言っても言い過ぎではありません。みなさんもいろいろな情報をもとに、いろいろな練習方法を試すと思いますが、結局はこの基礎的な練習に繰り返し立ち返ると思います。
お腹から声を出す
さて、歌を歌うときの正しい発声や正しい呼吸の話で『お腹から声を出す』という言葉を、一度は聞かれた事があるのではないでしょうか。
私も歌を趣味とするはるか昔から、それこそ小学校の音楽の授業のときにも『お腹から声を出しましょう』と言われていました。
『お腹から声を出す』というイメージですが、私はずっと、お腹で思いっきり力んで、うわー!!と大声を出すことだと思っていました。応援団の出すような、ぅおー!!という声とか、映画の戦闘シーンで、行くぞー!!とお腹から大きな声を絞り出すようなイメージでした。
なので、歌のはじめから最後までをお腹でコントロールすることができておらず、サビのところだけうおー!!とお腹に力を入れていました。今にして思えば、この力の入れ方も全く間違っていたと思います。
まずこのイメージが大きな間違いだったことに気付くのは、ボイトレを始めてから半年ぐらい立ってから、ようやく徐々にでした。お腹から声を出す、というのは、お腹から大きな声を出すのではなく、小さい音から大きな音まで、お腹で正確なコントロールをすること。そして、必要に応じて強い腹圧を掛けられるように備えること。現在では、そんなイメージを持っています。
❌️お腹から大きな声を絞り出す
🔴小さな音から大きな音まで
お腹で正確にコントロールする
🔴必要に応じて強い腹圧を掛ける
もしこの間違ったイメージを持った方がいたら、まずはそのイメージを正していくことが第一歩になります。
腹筋、背筋、横隔膜
お腹から声を出すために必要な筋肉は何でしょうか?
お腹といわれて、まずイメージするのは腹筋だと思います。前側で支える腹筋にえて、背中側を支えてくれるのが背筋です。腹圧をコントロールする上で、腹筋と背筋がしっかり鎧のように胴体を支えてくれることは非常に重要です。
そして、その中で自由に、そして繊細に動くのが横隔膜です。普段から呼吸するために、胴体の中で上がったり下がったりしながら肺の容積をコントロールしてくれています。
私のイメージですが、腹筋と背筋で強固な筒を作り、その中で自由に横隔膜が動いているような全体像を思い浮かべています。当然強固に、と言ってもただやたら力任せにお腹や背中に力を入れているわけではなく、必要に応じてかっちりと、しかし、しなやかに、自由にそれぞれの役割を果たしているようなイメージです。
実際には腹筋と背筋は肋骨より下で、横隔膜は肋骨の中で動く様な位置関係ですので、腹筋と背筋が横隔膜の上下や絞るような動きをアシストする感じかと思います。
下半身で支える
そのお腹を支えるのは下半身、なかでもまず、骨盤です。
器の様な骨盤が、お腹をゆったりと包み込むように支え、その骨盤を両足が支えます。
上半身、お腹の動きをゆったりとしなやかに支え、必要な時にいわゆる踏ん張りが効くかどうか、これは下半身に掛かっています。足を棒の様に伸ばさず、両足を少し開いて、足の付根の股関節、膝、足首、足の指までをリラックスさせ、上半身の自由な動きをアシストします。
骨盤の中でも、特に仙骨を意識することは重要です。
仙骨からはすぐに腰椎から背骨、つまり脊椎につながっているため、仙骨の動きは体全体の動きや姿勢を作り出します。
姿勢
歌い手は、ステージの上で本当にいろいろな姿、姿勢で歌を歌います。
ちょっと古いですがムーディ 勝山さんというお笑い芸人さんがされていた、『右から~右から~何かが来てる~』という昭和歌謡の様な直立不動の歌い方は稀で、屈んだり、反ったり、歩いたり、足を掛けたりしてるのをよく見るのでは無いでしょうか。
あるいは一青窈さんや、AIKOさんのように、体全体を揺らすようなくねらすような動きをされる方もいます。
音楽にノッている、観客にアピールしている、あるいは単なる癖、などいろいろ理由があるとは思いますが、多くの場合は、それが一番『歌いやすい』から自然に出ている姿勢かもしれません。
例えば、ステージ上のモニタースピーカー(ステージの前の方、演者さん側に向いているスピーカー)に足を掛けて絶叫するようなシーン。あれは、足をかけてカッコつけている、というより、上げた足を利用して、肺の空気を絞り出していたりします。
あるいは、上半身を反り上を向いてサビなどを歌っていると、感情の高ぶりを表現しているように見えます。もちろんそういう理由もありますが、特に高音になるほど、肺から出た空気を抜く先のコントロールがシビアになるため、喉から口腔、鼻腔への空気の通りを良くしてコントロールしやすくするためだったりします。
また上半身を揺らしたり、体全体をくねらせたりするのも、音楽にノッていたり、全身で表現したり、という意味ももちろんありますが、できるだけ腹筋・背筋・横隔膜だけに過度に負担を掛けないように、全身の筋肉でそれを補っている、という意味もあったりします。
いずれの場合も、よく見てみて頂きたいのは、そうした動きをする中でも軸はぶれていない、というところです。いろいろな表現などの理由で体を動かしているのかもしれませんが、あくまで歌を歌うための動作なので、歌を歌うための姿勢をブレさせてしまったら意味がありません。逆に言うと、うまい歌い手さんほど、自由に楽に歌う動作と自己表現、聞き手へのアピールが自然に、一体に行えてると言えます。
喉に力を入れない
声を出すうえで呼吸や姿勢はとても重要なことはなんとなくおわかり頂けたでしょうか。
では実際に声を出す部分、喉は、声帯はどう鍛えればいいの?と疑問が湧くと思います。
結論としては、少なくともトレーニングの初期には、何もしない、力を入れない、というのが正解だと思います。もちろん、声帯を下げる、伸ばす、などのトレーニングがあることはよく知られていますし、それにより喉を広げたり高い音が出るように声帯が張ったり、ということは技術としてあります。
しかし、基本的にはトレーニングの初期にはとにかく力を抜く様にするべきだと思いますし、喉を下げるトレーニングを意識的に行うべきではないと個人的には考えます。
理由は2つあります。
まず、喉を下げるトレーニングは、正しく行わないと、ただ喉の周りに力をいれるだけになってしまいます。見様見真似で正しくできればよいのですが、とても難しいでしょう。舌根を下げたり、首の筋肉を下に引っ張ったり、と言われて、正しくできるひとは稀です。間違った力の入れ方ですと、ますます声帯に余計な力がかかり、喉を潰してしまうリスクが高まります。
もう一つの理由は、多くの方が、ボイストレーニングを始めよう!と思った時点で、そこそこ良くない癖を身に着けてしまっていることが挙げられます。まずは、悪い癖、悪い緊張を取り除き、体を自然に動かせるように整え直していく必要があります。
その過程で新たなテクニックを身に着けようとすると、一度自然な状態に戻る事ができずに、新たな悪い癖を身に着けてしまうことがあります。まずは、最も自然な状態に体や筋肉の使い方を矯正して行く、つまり、姿勢や呼吸を整えて、喉にも全身にも余計な力を入れずに自然に発声できる状態を身につける事が大切です。
特にボイストレーニングを始めた初期は、私もそうでしたが、いろいろなトレーニング法やテクニックを熱心に探して周り、様々試してみたくなるものです。それ自体は悪いことではありませんが、まずするべきは、それまでに身についてしまった悪い癖を抜いて、基本に立ち返ることです。
なぜなら、自分が思うような発声ができない場合、必要な技術が足りないという事ではなく、その原因の多くは、基本ができていない上に、余計な癖がついてしまっている事が考えられるからです。
ですので、まずは、喉に力を入れない、それを基本にトレーニングされることをお勧めします。
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