ボイトレを始めてからおきた大きな変化の一つは、歌を歌うにあたって、自分の身体に対して意識する場所の順番と大きさが変わったことです。
ボイトレを始める前は、歌を歌おうとする時こんな感じでした。
喉 → 口の中(漠然) → マイク → 人の目…
みたいな感じでしたね。いきなり喉を意識する上に、ほとんど自分の身体に目が向いていない。。
ボイトレを積んでからはこんな感じになりました。
姿勢 → 呼吸(腹筋・背筋・横隔膜) → 唇と顔筋の動き → 肩の力を抜く、喉の力を抜く
明らかに変わったのは、歌うことは自分の身体との対話という意識が強くなったこと。それから、喉には力を入れない、ということ。
テクニックを捨てて、一旦下手になる勇気を持とう!
他のページでも解説しますが、ボイトレを始めるというのは、こんなことではないかと思っています。↓
特に、まずテクニックから入りすぎてしまい、カラオケなどではそこそこみんなに褒められるけど、どうも本当に上手い人と何かが違う・・・そう感じているのであれば、本当に上達するチャンスです。
いろいろ身につけたテクニック、もしかしたら悪い癖になってしまっているかもしれないそれらを一旦捨てる勇気を持ちましょう!
そして一見何のテクニックも身についていない、もしかすると歌下手な人に見られる時期があるかもしれませんが、それは飛躍するためのほんのひと時。でも重要な過程です。
何より大切なのは自分の身体と対話しながら、自分の身体を自由に使えるようになること。それに向けて勇気ある断捨離をしましょう!
間違っていた意識のポイントを思い返してみる
私の個人的な経験も大きいですが、歌を上達させるためにしていたけど、実はそれが歌の上達を阻んでいた、というポイントを解説したいと思います。
「喉を意識する」間違い
ボイトレを積む前は、なぜ「喉」から意識していたか。
声は喉(声帯)で出すものだから、ある意味当然ですがそれ以外にも、おそらく歌うとすぐに喉を痛めていた経験の積み重ねが、「喉をどう使うか」という意識に向いていたのではないかと思います。この傾向の人は多いのではないでしょうか。また、その「喉をどう使うか」という意識が、良くない癖を生んでしまっている人も多いのではないかと思います。
喉は、特にボイストレーニング初期は、まず力を抜くこと以外はしないほうがいいです。
『喉を開ける』『声帯閉鎖』『首の筋肉で声帯を伸ばす』など、ボイトレの参考動画などを見ると様々な「喉の使い方」が出てきます。これはこれでもちろん間違っているわけではありませんが、ボイトレ初期には参考にしないほうが良いです。
何故か。
端的に言うと『自分の身体と対話できる準備が出来ていないから』だと考えています。
『喉を開ける』といっても、どこに力を入れてどこの力を抜けばいいのかわからないし、『声帯閉鎖』と言われても喉を締めてしまうのとどう違うのか、感覚がつかめていません。『首の筋肉で声帯を伸ばす』も、どの筋肉で引っ張るのが正解か、正しく動かせているか、などはおそらくYoutubuなどで解説を見てもわからないと思います。
ボイトレの初期は何より『正しい姿勢と呼吸』と『癖を取ること』に集中したほうがよいので、喉に何らかの技術を習得しようとせず、まずは力を抜くことだけを考えましょう。
「口の中を意識する」間違い
それから漠然とした「口の中」ですが、言葉を造る(発音をする)ために口の中をいろいろ動かしますので、ここに意識が行くのも当然といえば当然です。ですが、歌を歌う上では間違っている、というか、大きく意識や感覚を変えなければならないポイントでもあります。
より具体的に言うと
西洋由来の楽曲を日本語で歌う場合、普段の話し言葉の発音のままではいけない
と言えると思います。
西洋由来の楽曲とは、RockやPops、ニューミュージックなど日常で耳にする音楽全般です。
もともとは英語などは唇や舌の前の方を使い、必ずしも一音ずつ母音を伴わず滑るように発音をする言語です。
その文化で発展してきた音楽に、日本語を乗せているのです。
試しに有名なあのフレーズ「This is a pen」と発音してみてください。日本語で発音する「これはペンです」と、比べていかがでしょうか。
日本語の場合、一音一音子音と母音がセットになり、文化的にあまり口を動かさず、ましてや f の発音みたいに唇を噛んだり、 th の発音みたいに舌を外に出したりしません。そんな言葉を話して育った私達は、言葉を口の中、少し奥の方で造る癖がついています。
現在我々が触れている多くのJ・Rockやニューミュージックなどは、西洋の言語・文化を源流とする音に、全く違う日本文化を源流とする言葉を乗せている、ということを意識して、それに対応する必要があります。
具体的には、発音をする仕事についてはできるだけ唇と舌先に役割を持たせ、口の奥、喉の近くに力を入れないように意識する。喉の奥や鼻に通じる部分には、他の役割を担ってもらうために、発音には使わない。
他の役割とは、音を響かせたり、通り道を作ったり、いろいろありますが、これも「自分の身体との対話」が進んでから意識すればよいかと思います。
マイク
歌う時に次に意識が行ってしまっていたが、マイク、でした。
カラオケなどではマイクを握って歌うので、まあ意識はしますよね。
マイクでどれぐらいの音量を拾ってくれるか、とか、リバーブをどれぐらいかけると上手に聞こえるか、とか、どちらかと言うと、自分の身体よりも「カラオケ」という機械でどう歌いこなすか、という意識のほうが強かった気がします。
でも当然ながら、きれいな発声を拾わせなければきれいな音は再現されません。この頃はマイクを使いこなすために意識していたわけではなく、マイクを含め音響機器(というかカラオケマシン)でどうごまかせるかという感じだったかと思います。
もちろん、本格的にボーカルとして活動する際には、ステージでもレコーディングでもマイクの選択や扱いなどは重要ですし、マイクの使い方は非常に重要になってきます。どの程度強く音を当てるか、とか、どの音を拾わせないようにするか、とか。ただ、これはまだまだ先の話です。
人の目
これはカラオケでもなんでも、歌を人前で歌う人であれば少なからず意識をしてしまうのではないでしょうか。緊張や恥ずかしさを感じ、一人きりでいる時は歌える曲も上ずってしまったり、声が出なかったりします。
ボイトレが進んである程度自身がついたと思っても、これは結構ついてまわります。自主練では普通に歌える歌でも、高い声が出なくなったり、呼吸が続かなくなったりすることがあります。緊張や恥ずかしさから、妙な力みが入り、普段できるはずの息や音を飛ばす方向の繊細なコントロールが出来なかったり、呼吸に力を入れすぎて歌の最後まで横隔膜の動きが持たなかったりすることがあります。
それでも、ボイトレで自信をつけることと、周りの目よりも自分の身体との対話に目を向ける訓練が進めば、かなり克服できるようになります。
ちょっと漠然とした余談になりますが、私は口先で出している声や音は『他人を意識して出す音』で、お腹から出す声や音は『自分の表現する音』だと感じています。
人の目が気になる、とか、人前で緊張する、しない、というのはそれぞれあると思います。が、それよりも、自分の体幹から自分の声を出せるようになれば、人の目に対する緊張を超えて自分の空間を作り、しっかりと表現できる様になると考えています。
正しい意識の持っていきかたをどう身につけるか
では正しい意識の持っていきかたをどのように養い、身に付けることができるでしょうか。
正直、まだ私自信はそこまで出来ているわけではありません。が、自分なりにボイトレで教えてもらったコツを活かすように少しずつルーティンのようなものを作っています。
その具体的な方法ですが、、
まず楽な姿勢をとり、全身のストレッチを行います。ストレッチについては、次の項目で詳しく書こうと思います。
その次に、お腹と背中に力をいれたり弱めたりして、自分の腹筋と背筋を感じ取るようにします。そして横隔膜を一緒に動かすようにしながら、腹筋、背筋、横隔膜の動きで空気を吐き出したり吸い込んだりします。
次にその空気を唇や顔筋で受け流すようなイメージで、呼吸に併せて唇や顔筋を動かしていきます。
お腹と顔のストレッチをしながら、空気を押し出す場所と出ていく場所をつなげてあげるようなイメージです。
そして、意識的に肩と喉の力を抜きます。
意識的に力を抜かないと、気づかぬうちに力が入ってしまっていることがあります。なので、一度意識的に力を抜くようにしています。
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